爆弾処理は国が全額負担するべきです

毎日新聞に驚く記事がありました

不発弾
処理費返して 土地所有者ら大阪市提訴
毎日新聞2016年5月26日 07時15分(最終更新 5月26日 07時15分)
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 昨年5月に大阪・ミナミの繁華街で行われた大規模な不発弾の撤去作業を巡り、大阪市に処理費を負担させられたのは不当だとして、不発弾が見つかった土地所有者の男性(57)と親族が、市に約580万円の返還を求める訴えを大阪地裁に起こしたことが分かった。処理費の負担先を規定する法令がないため、大阪市は以前から地主に負担を求めているが、男性は「不発弾処理は戦後処理の一環。行政が責任を負うべきだ」と訴えている。
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 男性の代理人弁護士によると、自治体に処理費の返還を求める訴訟は極めて珍しい。  訴状などによると、男性は大阪市浪速区日本橋西1の土地を所有。マンションの建設工事中だった昨年3月、地中から米国製1トン爆弾(長さ1.8メートル、直径60センチ)が見つかった。太平洋戦争中に米軍機が投下したとされ、信管も残されていた。  市側は男性に「市内で過去にあった不発弾の処理は土地所有者が費用を支払っている」と説明し、防護壁の設置費や周辺警備の関連費を負担するよう求めた。男性は納得しなかったが、撤去作業の遅れで周辺住民に危険が及ぶことを考慮。一時的に負担することを了承する覚書を市側と交わしたが、その後、市からの費用の返還はなかったと主張する。  市は昨年5月9日、半径300メートル圏内の立ち入りを禁止。陸上自衛隊の協力を得て、約1時間半かけて不発弾を撤去した。約1600世帯の住民約2200人に避難を呼び掛けたほか、南海電鉄も一部区間で約3時間運転を取りやめた。  大阪市は1955年以降、87件の不発弾処理を行っている。市危機管理室は「明確な基準はないが、いずれも地主に負担をお願いしている。今回も慣例に従った」と説明する。  25日にあった第1回口頭弁論で、市側は男性側の訴えの棄却を求めた。【向畑泰司】
沖縄は国や自治体負担
 防衛省によると、全国の不発弾処理件数は近年、年間1500件前後で推移する。戦後70年を迎えた昨年度も1392件あった。しかし、負担先を明示する法令がないことを背景に自治体の判断は分かれており、訴訟の行方は戦後処理のあり方に一石を投じそうだ。  大阪市と同じ「慣例」を理由に、土地所有者に費用負担を求める神戸市。2014年に大型商業施設の建設予定地で実施された不発弾の撤去作業では、所有者が土のう設置や警備員配置にかかる費用を支払った。  一方、群馬県高崎市は13年6月、私有地での不発弾処理費約500万円を全額負担した。同市は「住民の安全確保と捉え、災害対策基本法の適用で対応した」と説明する。  年間500件以上の不発弾が撤去されている沖縄県では国と県、市町村が協議会を設置。国が9割を負担し、残りを県と関係の市町村が折半することを申し合わせている。  不発弾処理に詳しい名桜大の大城渡准教授(憲法学)は「所有者負担を求める自治体の多くは、埋蔵物にも地主の所有権が及ぶという民法の規定を根拠にする。だが、本来は国が特別法の制定などで全てに責任を持つべき性格の問題だ」と指摘した。【向畑泰司】