【国際】
「命のビザ」千畝の思い、風化防げ リトアニア・杉原記念館が老朽化
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2017年9月5日 朝刊
4日、リトアニアカウナスの杉原記念館で、足場を組み塗装作業に備えるボランティアら=栗田晃撮影
 【カウナスリトアニア中部)=栗田晃】第2次世界大戦中、外交官の杉原千畝(すぎはらちうね)(1900〜86年)がナチス・ドイツに迫害されたユダヤ人に「命のビザ」を発給したリトアニアカウナスの旧日本領事館で4日、ボランティアの日本の塗装業者ら約60人による修復作業が始まった。現在は杉原記念館となっている建物は老朽化しており、日本の職人たちの技でリフォームする。
 参加したのは、全国の塗装業者らでつくる団体「塗魂(とうこん)インターナショナル」のメンバー。事務局長の池田大平さん(53)=愛知県春日井市=が新聞記事で旧領事館の老朽化を知ったことから「俺たちの出番」と思い立ち、仲間を誘った。
 築七十八年、三階建ての旧領事館は杉原が過ごした当時の姿を残す。着工式でカウナス市のモティヨシャイティス市長は「杉原さんは地元でも英雄。修復に来てくれたことを感謝したい」とあいさつ。団体会長の安田啓一さん(49)=東京都豊島区=が「思いを受け継ぐペイントをしたい」と意気込みを語り、塗装以外の修復費として日本で募った三百万円を寄付した。杉原の出身地、岐阜県八百津(やおつ)町の金子政則町長も激励に訪れた。
 四日間の限られた日程や、慣れない現地の塗料使用など難しい条件のなか、メンバーらは声を掛け合い、手際良く足場を組んで塗装準備を整えていった。作業班を仕切る大野雅司さん(49)=岐阜県各務原(かかみがはら)市=は「同郷の偉大な先輩のため、後世に残る仕事をしたい」と話した。
<命のビザ> ナチス・ドイツの迫害から逃れるためにポーランドなどからリトアニアカウナスの旧日本領事館に押し寄せたユダヤ人難民に1940(昭和15)年、当時の領事代理だった杉原千畝氏が日本外務省の訓令に背いて発給した日本通過査証。難民約6000人はシベリアの陸路を経由し、船を乗り継いで福井県敦賀港に上陸。横浜や神戸から米国などに移った。

毎日新聞世論調査:加計「関心増した」42%
2017年09月04日

 毎日新聞が2、3両日に実施した全国世論調査で、学校法人「加計(かけ)学園」による国家戦略特区を利用した獣医学部新設問題への関心を聞いたところ、「以前より高くなった」との回答が42%で、「以前より低くなった」の36%を上回った。政府・与党は野党の臨時国会の早期召集要求に応じず、問題の沈静化を狙ったが、世論の批判をかわすのは難しそうだ。

 憲法9条第1項と第2項をそのままにして、自衛隊の存在を明記する安倍晋三首相の改正案に「反対」は34%で、「賛成」の27%より多かった。「わからない」も30%あった。安倍内閣の支持層では賛成が50%だったのに対し、不支持層では反対が62%に上った。

 首相は改正憲法の2020年施行を目指していたが、8月3日の記者会見で「スケジュールありきではない」と述べた。この発言の修正に関しては、妥当だと「思う」が43%、「思わない」が39%と分かれた。

 今の衆院議員の任期が残り1年3カ月あまりになり、衆院解散・総選挙の時期が注目されている。今回の調査では、次期衆院選を「来年前半に行う」が32%で最も多く、「来年後半に行う」が26%、「今年のうちに行う」が25%だった。

 東京都の小池百合子知事に近い若狭勝衆院議員が設立した「日本ファーストの会」の国政進出を「期待しない」は53%と半数を超え、「期待する」は34%。「支持政党はない」と答えた無党派層も傾向は変わらなかった。


社会面
交通取り締まり中に女性の体触った疑い 静岡県警、巡査逮捕
2017/9/5 朝刊
 交通取り締まり中に停止させた車を運転していた20代女性の体を執拗(しつよう)に触るなどしたとして、静岡県警は4日、準強制わいせつと特別公務員暴行陵虐容疑で細江署地域課の巡査柴田恭佑容疑者(24)=浜松市北区細江町小野=を逮捕した。
 逮捕容疑は8月16日午後4時10分から25分ごろ、浜松市北区細江町中川の路上で所持品検査をすると言い、車外に出した女性の体をしつこく触るなどした疑い。容疑を認めている。
 県警によると、柴田容疑者は交番勤務で、16日午後2〜4時までオートバイでパトロールをしていた。交差点で一時停止しなかった可能性があるとして女性の車を止め、職務質問や所持品検査を求めた。女性は1人で車に乗っており、柴田容疑者と面識はなかった。
 女性が同日、細江署に相談し発覚した。