幼稚園で保護者向けにヘイト文書  大阪府が聴取

幼稚園で保護者向けにヘイト文書  大阪府が聴取

 大阪市の「塚本幼稚園」が保護者向けに配った冊子の一部
 大阪市淀川区の学校法人森友学園が運営する「塚本幼稚園」(同区)が、「よこしまな考え方を持った在日韓国人支那人」などと記載した文書を保護者向けに配布し、憎悪表現に当たる恐れがあると問題視した大阪府が法人理事長の籠池泰典園長らから事情を聴いていたことが16日、分かった。
 府私学課によると、昨年12月に元園児の保護者から情報提供を受け、1月12日、職員が園を訪れて籠池氏や妻の副園長と面会。籠池氏は文書を配布したことを認めた。
 職員は昨年6月に施行されたヘイトスピーチ対策法の趣旨などを説明し、文書を配布した意図を報告するよう求めた。籠池氏側は保護者と係争中の訴訟があることを理由に「答えられない」と回答してきたという。
 私学課は「多くの保護者にこうした文書を配るのは問題がある」として、対応を検討している。
 このほか、共同通信が入手した同園の昨年12月の保護者向け冊子では「(韓国の)心を引き継いだ人たちが日本人の顔をしてわが国に存在することが問題」と記載。園のホームページ(HP)上では「韓国・中国人等の元不良保護者」と一時掲載し、後に「K国・C国人等」に改めた。
 籠池氏は今月13日、共同通信の取材に「当園は全ての国を平等に扱っている。HP上の文章は園に批判的な韓国人・中国人の不良保護者がいたから載せた」と話した。
 塚本幼稚園は戦前の「教育勅語」を暗唱させるなどの教育で知られる。森友学園大阪府豊中市で4月に小学校を開校予定で、名誉校長は安倍晋三首相の夫人昭恵さん。用地取得を巡り、国有地が学園側に評価額の14%で払い下げられていたことが判明し、「経緯が不可解だ」として国会でも取り上げられている。
記事更新日時: 2017年2月16日 17:12
記事提供名称: 共同通信



◎幼稚園で保護者向けにヘイト文書
2017/02/17


 大阪市淀川区の学校法人森友学園が運営する「塚本幼稚園」(同区)が、「よこしまな考え方を持った在日韓国人支那人」などと記載した文書を保護者向けに配布し、憎悪表現に当たる恐れがあると問題視した大阪府が法人理事長の籠池泰典園長らから事情を聴いていたことが16日、分かった。

 府私学課によると、昨年12月に元園児の保護者から情報提供を受け、1月12日、職員が園を訪れて籠池氏や妻の副園長と面会。籠池氏は文書を配布したことを認めた。

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森友学園疑惑 小池書記局長質問が明らかにしたものは―
しんぶん赤旗

 国民の共有財産である国有地が、安倍晋三首相夫人が名誉校長だった私立小学校用地として、タダ同然で売却される―。森友学園籠池泰典理事長)疑惑に広い国民の関心と怒りが向けられるなか、日本共産党小池晃書記局長が1、2両日の参院予算委員会で行った追及は、真相解明への新たな局面を開くものでした。
崩れた弁明政治家の関与くっきり
 一連の疑惑が国会で追及されるなか、安倍首相は「私や妻が関係していたなら総理大臣も国会議員もやめる」「政治家の不当な働きかけはない」とのべ、土地取引への政治家の関与を一切否定してきました。
 小池氏は1日の質問で、「ある自民党国会議員事務所」の面談記録を示しました。
 そこには、籠池氏や学園側が財務省や近畿財務局、国土交通省大阪航空局に土地の値下げなどを要求するための仲介を求めていた事実が克明に記されていました。
 事実の確認を求める小池氏にたいして、安倍首相はたいへんなうろたえぶりで「どういう文書かわからない」「私の事務所のようなイメージを与えている」と、ごまかしと開き直りの答弁を重ねました。
 その夜のうちに、事態は大きく動きます。「ある自民党国会議員」の当事者である鴻池祥肇参院議員が記者会見を開き、籠池氏側から、繰り返し財務省への働きかけを求められたことを明らかにしたのです。
 鴻池氏はその中で、籠池氏から金品が入っていたと見られる封筒を渡され、はねつけたということにも言及しました。森友学園はこの国有地を有利に手に入れるためには、政治家の政治力を金で買うことさえ辞さない動きをしていたということです。
 小池氏は2日の質問で、前日提示した文書は、鴻池議員の事務所の「陳情整理報告書」を独自に入手したものであることを示しました。あらためて財務省に事実の確認を求めましたが、佐川宣寿理財局長は「記録がない」の一点張りで、あくまで隠そうという態度をとりました。
 この日の追及の白眉は、森友学園が土地を賃貸ではなく買い入れに切り替えると申し出る直前の2016年3月15日、籠池氏と財務省理財局国有財産審理室長の会談の経緯です。
 籠池氏はこの会談をセットするために、まず鴻池事務所に仲介を依頼しましたが、同事務所はこれをはねつけました。財務省の幹部職員との面談は、そう簡単にできることではありません。そこで籠池氏が、別の政治家に働きかけたのではないかという疑いが浮上するのです。
 小池氏は「いままでの『政治家の関与はない』という説明は崩れた」として、安倍首相の責任で、財務省国交省の担当者を洗いざらい調査し、自民党内の議員についても徹底調査することを求めました。

 安倍首相は「政治家であれば嫌疑をかけられれば説明責任を果たしていくものだ」と、まるでひと事のようにいう無責任さです。
 財務省などの必要な資料の提出、当時の担当者への調査を行うこと、さらに籠池氏ら関係者の証人喚問を通じて事実を解明し尽くすことが、いま国会に課せられた国民への責務になっています。
異例ずくめ森友の要望に沿い決着
 森友学園への国有地売却がいかに異例ずくめで奇怪なものだったか、小池氏の追及で浮かび上がっています。
 籠池氏が、鴻池事務所に最初に働きかけたのは2013年8月5日。森友学園は問題の国有地取得に動いたものの資金がなく、8年間は借地でその後に購入という形を望んでいました。しかし近畿財務局は、国有地の処分は売り払いが原則だという当たり前の態度をとり、困った学園側が政治家の影響力を使うことをねらったのです。
 焦点となるのは15年1月9日、近畿財務局管財課の統括官が籠池氏に会い「土地評価額10億、10年間の定期借地として賃料年4%、約4000万円」という条件を提示したことです。
 近畿財務局がこの取引を国有財産近畿地方審議会にかけて了承を受けるのは同年2月17日。それ以前に、同財務局が外部に具体的な土地売買の条件や賃借料を提示することなど絶対にできないし、あってはならないことです。
 それが現実に起きていたとすれば、近畿財務局は正式な手続きなど無視して、この取引を早くから固めていたということになります。
 具体的な事実については「資料がない」と答弁を避け続ける佐川理財局長が「審議会より前に先方に条件について提示することはない」と、この点についてだけはっきり答弁したこともきわめて不自然です。
 土地の賃料も、値下げを求めた学園側の提示額とほぼ同じ年2730万円に決定。籠池氏の要望に沿うものになりました。
 土地売却での8億1900万円の値引きの根拠とされた地中埋設物。森友学園が「想定以上のゴミが見つかった」と申し出た16年3月以降に、国が責任をもってゴミを除去したうえ土地を売却するのでなく、「1年後の学校開設で大変急いでいる状況だった」(佐川理財局長)と“学園寄り”の説明が繰り返されました。
 疑惑にまみれた取引の全容解明が、ますます求められています。
特異な教育首相夫妻に道義的責任
 小池氏の質問で安倍首相夫妻の重大な道義的責任も明らかになりました。

 森友学園が運営する塚本幼稚園は、園児に戦前の「教育勅語」を暗唱させるなど、特異な教育内容で知られます。この学園を昭恵夫人は「すばらしい」と称賛してきました。
 小池氏は、昭恵夫人が塚本幼稚園で2014年4月、同年12月、15年9月と、少なくとも3回にわたって訪問、講演するなど、森友学園との関与を指摘しました。安倍首相は「私の考え方に非常に共鳴している方」(2月17日の衆院予算委)と籠池学園理事長を評価してきました。
 1日の参院予算委での小池氏の追及に安倍首相は「妻は私人だ」などと言い逃れようとしました。小池氏は、昭恵夫人が幼稚園の講演でも、名誉校長だった開設予定の小学校パンフレットでも、「内閣総理大臣夫人」の肩書で紹介されていたことを指摘しました。森友学園側が、昭恵夫人を“公人”として広告塔に活用してきたことは明らかです。
 塚本幼稚園運動会で園児に「安倍首相がんばれ!安保法制、国会通過よかったです」と宣誓させるなど、教育基本法に抵触するような教育方針をとっていることも大問題になっています。このような学園を称賛してきた道義的責任は免れません。
 安倍首相夫妻と森友学園との関係が、国有地払い下げに影響を与えた可能性もあります。
 安倍首相も認可申請小学校(豊中市)への国有地払い下げ交渉で、森友学園側が「(財務省)理財局、(国交省)航空局に対して、安倍昭恵名誉校長ということを前面に出したのかどうかということもあるんだろう」(2月24日の衆院予算委)と答弁。籠池学園理事長が自民党の鴻池参院議員に「紙に入ったもの」で働きかけを行うなど、教育者にあるまじき行動をとっていた疑惑も新たに浮上しています。
 安倍首相は2日の参院予算委で小池氏の追及に「政治家であれば、自ら襟を正していくことは当然のことだ」と居直っており、国有地払い下げをめぐっても安倍首相夫妻の道義的な責任が厳しく問われます。

以下は産経新聞より

 麻生太郎財務相は3日の閣議後会見で、学校法人「森友学園」(大阪市)による国有地払い下げ問題で、学園側から政治家への働きかけが表面化したことについて、「(学園の陳情を受け政治家が)近畿財務局か大阪航空局かにつないでやるのは普通のことで、それをするのが(政治家の)仕事だと思う」と、正当性を主張した。

 麻生氏は「代議士には地域の色々な陳情が来る。それを聞かないと代議士は何のためにいるのか」と指摘。自民党鴻池祥肇参院議員が、学園理事長から用地取得をめぐる陳情を受けていたことについても問題ないとの見方を示した。

 ただ、麻生氏はこれまでの国会答弁や会見で、同問題における政治的な働きかけの有無については「ない」と明言してきており、回答が一転した形だ。

また、国有地の学園への払い下げ手続きについては、「瑕疵(かし)はなかった」とし、適切に実施されたことを改めて強調した。