続 三笠宮の記した皇室典範 カジノ賭博国加盟

三笠宮は6月8日の枢密院本会議でも、新しい皇室典範の制定に皇族がかかわれないことに対して、「皇室の事は矢張り皇族が一番よく知つて居ります。……皇族の典範改正参与について慎重の考慮をお願ひする次第であります」と発言。

さらに日本国憲法の制定手続きに異議を唱え、その意見が採用されないと会議を退席した。昭和天皇の侍従、入江相政は「非常にお上(昭和天皇)も遺憾に思召された由。……どうして皇族はかくもお上をお苦しめするやうなことばかりされるのであらうか」(『入江相政日記』同日条)と嘆息交じりにつぶやいている。
昭和天皇宮内省官僚とは異なる独自の意見、いわば不規則発言を繰り返す三笠宮に対して、宮内省も枢密院も手を焼いていたのである。意見書が取り合ってもらえなかった理由はまさにそこにある。「異端者」を自称する三笠宮は、聞いてもらえないことは分かっていながら、皇族の責任として文書を提出したのであった。
ひるがえって、現在の生前退位議論はどうか。有識者会議が発足したとはいうものの、一部の憲法学者歴史学者、ジャーナリストなどの意見を聴取しただけで、本格議論をつくしたという形にはなっていない。今回の事態を特別法で乗り切り、議論の広がりを避けようという安倍政権の意向が見え隠れする。現在の天皇陛下の「生前退位」の方向は、70年前の三笠宮の主張の通りに進みそうではあるが、宮様が、結論ありきの議論の進め方をみたら、やはり異議を唱えたのではないか。
天皇・皇族の基本的人権について三笠宮は考え続けた。しかし、紀元節問題以降、政治的発言は控えるようになる。自由に発言し続けた三笠宮の潔さは、象徴天皇制の形が固まった高度経済成長期以降、あまり見られなくなる。皇族はロボットなのか、人間なのか―。法律ではその答えがでないことを悟った三笠宮なりの処世術だったのであろう。ただ、現在の生前退位問題をどうお考えになるのか、亡くなる前にその見解を聞きたかったのは、私だけであろうか。
もり ようへい 1964年生まれ。京都大学文学部史学科卒業後、毎日新聞社に入社。1998年毎日新聞社を退職後、CNN日本語サイト編集長、琉球新報ワシントン駐在記者などを経て、現職。著書に『天皇家の財布』(新潮新書)がある。 <激論! 退位は是か非か皇室と日本人の運命いまこそ考える>
今上天皇「おことば」に込められた皇太子へのメッセージ 保阪正康
●専門家ヒアリングで語りきれなかったこと 今谷明
皇室典範どこまで変えるべきか 木村草太
◎それでも生前退位に反対する 八木秀次
●皇室を維持したいなら「自由」と「平等」を 井上達夫
●ドキュメント生前退位・退位報道の裏側「キーマン」はなぜ消えた? 山口敬之
●平成流「公務」の原点・伊勢湾台風雲仙・普賢岳 大久保和夫
◎一級史料に新たな光 - 三笠宮がのこした「生前退位論」森暢平
◎平成のご聖断とトランプ現象 片山杜秀
●退位表明に宿る「死と再生」の叡智 山折哲雄
「おことば」私はこう聞いた 中野翠 譲位はゆっくり/鴨下信一 ホームドラマと象徴天皇/渡辺京二 人情と覚悟/山崎正和 浩宮の始球式
●近代天皇がたどりついた平成の「人間宣言」 三谷太一郎(元宮内庁参与・東大名誉教授)
天皇・皇后両陛下「愛の歌」 永田和宏
生前退位という活字に衝撃を受けました - 美智子皇后祈りの旅路 宮原安春<皇室の危機歴史の証言>
●近代天皇の「身」と「位」 黒沢文貴
●「女帝」「退位」で激論新「皇室典範」は三ヵ月半で作られた 井上亮
儀礼担当者が語る「平成の大礼」の舞台裏 三木善明
●取材陣が1000人!「代替わり」メディア戦争 山下晋司
◎皇室問題が「炎上」するとき 辻田真佐憲
●幻の「裕仁法皇」退位問題の近現代史 浅見雅男
天皇を知れば日本史がわかる 本郷和人<若手論客の「新天皇論」>
●空っぽの「象徴」 浜崎洋介
天皇生前退位問題を遠眼鏡で見る 伊東祐吏
天皇の「政治 」力 村上政俊
●合理性なきGHQ遺制を脱却せよ 小川榮太郎
◎「家長」としての陛下 先崎彰容
◎「御一新」を歓迎する 古谷経衡
エマニュエル・トッドが語る「天皇・女性・歴史」
山内昌之×佐藤優 大日本史? 日米対立を生んだシベリア出兵
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おかしな両親に育まれた犠牲者の事実。
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兄から受けた性暴力を「許せない」と語る女性。スマホに入る猫の画像が心の癒やしだ=前橋市内で2016年10月18日、鈴木敦子撮影

◇「うそでしょ」 母は言い放った

 兄を訴えたい。許せない。裁判で罪を償ってほしい。そう願ったが、親から反対され、警察には届けなかった。

 ナツキさん(19)=仮名=は小学生の頃の記憶がほとんどない。兄から受けた傷痕が、澱(おり)のように残っているだけだ。5歳上の兄のわいせつ行為が始まったのは小学校に入ってすぐの頃だった。県内のある住宅街。家族が寝静まった頃、部屋の扉が音もなく開いて、兄が入ってくる気配を感じた。何をされているのかは分からなかったが、気持ち悪かった。やめてほしい。ぎゅっと目をつぶり、祈った。「早く終わりますように」。最後に兄はこう言って部屋を出て行った。「誰にも言うなよ。言ったらおまえを殺すか、おれが死ぬかだ」。以来、それはほぼ毎日、続いた。

 中学1年の冬。学校で警察官による防犯講話が開かれた。「不本意な形で体を触られることは犯罪被害です」。

警察官の言葉に、初めて兄の行為が強姦(ごうかん)という犯罪だと知った。

 「ねえ、なんでそんなことするの?」。その日の夜、思い切って兄に聞いた。返ってきたのは「なんとなく」の一言。何となく? 頭が真っ白になった。はらわたが煮えくりかえる。「私の人生を壊しておいて、『なんとなく』って何なの」

 翌日、学校のスクールカウンセラーのところに駆け込んだ。泣きながら包み隠さず話すと、「教えてくれてありがとう」と言われた。すぐに担任教諭と教頭が加わり、家庭に連絡が入った。しかし、駆けつけた母親は娘の顔を見るなり、こう言い放った。「うそでしょ。お兄ちゃんがそんなことするはずない」

 その日のうちに児童相談所に保護された。親族宅を経て、県内の児童養護施設に移った。友だちにあいさつもできないまま転校になったのは悲しかったが、夜、熟睡できるようになった。

   ◇   ◇

 今、親族の冠婚葬祭には極力出席しない。兄と顔を合わせたくないからだ。兄は「普通」に就職し、恋人がいる。あの時の母の心情を思えば、息子を犯罪者にしたくなかったのだろう。でも、納得できない。ナツキさんはその後、うつ病に苦しみながら通信制の高校を卒業。体調が良ければ飲食店でアルバイトをしている。「このままでは『逃げ得』。私は一生つらいのに」

 法制審議会が答申した刑法改正案に新たに盛り込まれた18歳未満の子どもに対する「監護者」の性暴力の罰則は、被害者の告訴がなくても加害者を起訴できる非親告罪化とする方向だ。しかし、あくまで想定は親子間。きょうだい間は含まない。なぜ被害者を線引きするのだろう−−。「きょうだい間でも同じように罰すべきだ。むしろ重くしてほしい。逃げられないし、自分では訴えられないのだから」【鈴木敦子】

◇従属関係の構造に無理解

 法制審の答申(今年9月)は、18歳未満の子どもへの性暴力について、新設する罰則の対象を「親子間」に絞った。

 性暴力の被害者や支援者らは昨年10月、法制審に対し、きょうだい間▽親戚間▽親の恋人と子ども▽教師と生徒▽上司と部下−−などの地位・関係性を利用した性的行為も親子間と同様に扱うことを要望していたが、なぜ認められなかったのか。性暴力撲滅を啓発するNPO法人「しあわせなみだ」の中野宏美代表は「地位・関係性を定義する難しさが法律になじまないということなのかもしれないが、従属関係によって発生するという性暴力の構造が正しく理解されていない。性暴力は性欲だけに支配されているわけではない」と指摘する。

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カジノ賭博は先進国では倒産している。トランプ経営のカジノも破産解散している。極右ブラック労働党は破産する傾城の賭博党も兼ね始めた。

政治
カジノ解禁推進法案/池内議員の反対討論/衆院内閣委
しんぶん赤旗

 日本共産党の池内さおり議員が2日の衆院内閣委員会で行ったカジノ解禁推進法案に対する反対討論(要旨)は次の通りです。
 本法案は「特定複合観光施設(IR)の整備」をうたいますが、本質は日本で許されなかった民間賭博=カジノを解禁しようというものです。
 刑法は、刑罰をもって賭博を厳しく禁じています。「国民をして怠惰浪費の弊風を生ぜしめ、健康で文化的な社会の基礎をなす勤労の美風を害」し、「国民経済の機能に重大な障害を与える恐れ」(1947年11月22日、最高裁大法廷判決)があるからです。これをくつがえすカジノ解禁は許されない暴挙です。
社会悪もたらす
 カジノ解禁は何をもたらすか。暴力団の関与、マネーロンダリング、周辺地域の治安の悪化、ギャンブル依存症の多発、青少年への悪影響など、社会悪そのものです。提案者もリスクの発生を否定できませんでした。さまざまな対策を講じるためには莫大(ばくだい)な社会的費用を必要とします。カジノ事業者のもうけのために、社会悪を発生させ、莫大な公費を使う、これほどばかばかしい法案を私は他に知りません。
 提案者は「カジノによって夢のような経済効果がある」といいます。しかし、シンガポールの例を繰り返すだけ。IR方式の施設の破綻は世界のあちこちで起きています。経済効果は何の根拠もありません。賭博を通じて巨大なお金が右から左へと流れ、カジノの胴元に巨額なてら銭が転がり込むだけです。
 暴力団など反社会勢力がカジノ利権に食い込みを図ることは、火を見るよりも明らかです。マネーロンダリングの場となることも、世界のカジノの実態をみれば防ぐことはできないでしょう。
 より深刻なのは、ギャンブル依存症の拡大です。わが国には、536万人のギャンブル依存症の患者がいることが明らかになりました。慢性、進行性、難治性で、放置すれば自殺に至る極めて重篤な疾患です。新たな依存症患者を生み出すことは許されません。提案者は、カジノ収益から出る納付金で対策を講じると述べましたが、新たな発生源をつくらないことこそ必要です。
 賭博には敗者が存在します。大数の法則で必ず胴元が勝つ、ここにカジノ営業の根拠があります。日弁連が行った破産調査によるとギャンブルが原因とみられる破産者は全体の5%に上ります。カジノは多重債務者を作り出さざるを得ません。官民一体で行った多重債務者対策にも逆行するものです。
 青少年への影響も深刻です。
家族ぐるみで出かけるIRに公然と賭博場があることは、賭博への抵抗感を喪失させてしまいます。
 政府は、カジノを中核としたIRを「成長戦略」の目玉に位置付けていますが、賭博によるあぶく銭を当てにした経済政策など、あまりに不健全、経済政策の退廃です。
日本観光の未来
 日本は、額に汗してコツコツと働く、勤勉な国民性に支えられて現在の経済水準を獲得しました。一人ひとりの努力によって築き上げられた世界に誇る景観、文化遺産、社会の安全、ここに日本の観光の未来があります。
 「健康で文化的な社会の基礎をなす勤労の美風」を害し、「怠惰浪費の弊風」を生じさせる本法案は決して成立させてはなりません。