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殿、ご乱心! これでは加計学園も…血迷った安倍氏 獣医学部を次々に新設?! 法科大学院制度が通った道を着実に後から行く
猪野 亨

獣医学部の新設について、安倍氏加計学園に便宜を図ったのではないかという疑惑に対して、すべて逃げてまくっている安倍氏
 もう誰もが真っ黒だと思う中、安倍氏は、何と加計学園に限らずさらに獣医学部新設をどんどん進めていくなどと述べています。
「首相、獣医学部新設「今治市だけに限定しない」」(読売新聞2017年6月24日)
「安倍首相は24日の神戸市での講演で、学校法人「加計(かけ)学園」の愛媛県今治市での獣医学部新設計画に関し、「今治市だけに限定する必要はなく、速やかに全国展開を目指したい。意欲のある所にはどんどん獣医師学部の新設を認めていく」と述べた。」 安倍氏が血迷っています。加計学園獣医学部新設ですら獣医師の過剰と質の低下を招くと言われているのに、さらに「全国展開」だというのですから、自ら疑惑によって潰され掛かっているものだから、獣医学部(獣医師)と無理心中しようというのです。
 これが一国の総理が行う言動ですか。もう滅茶苦茶です。これで国政の舵取りができるような人物ではないということを露呈してしまいました。

 しかも言うに事欠いて「首相は「獣医師会の強い要望を踏まえ、まずは1校だけに限定したが、こうした中途半端な妥協が国民的な疑念を招く一因となった」と釈明した。」(前掲読売新聞)だそうですが、獣医師会は1校だけならなどということは言っていないと言ってるのに、未だに嘘までついて自分を正当化しようというのですから、首相たる資格は微塵もありません。

 さて、安倍氏のいうように今後、加計学園以外にも1つ2つと獣医学部が新設されたらどうなるのでしょうか。
 加計学園獣医学部を新設したいという動機は明らかであって、既に小動物獣医師は過剰気味とは言われていますが、それでも志願者を一定、確保できると見込んでいるからです。
 もっとも獣医学部を志望する学生は国立は一定の倍率を確保していますが、私立では全体として1倍に近づいています。


河合塾より

 もう既に私立では獣医学部は厳しい状況にもなりつつあるということですが、ここに160名もの定員が増えるということになると、本当にそれだけ学生を確保できるのかという問題にぶつかります。現実に加計学園に学生が集まるのかと懸念されていたことは決して根拠のないことではなく、既に下り坂になっていますので、定員割れなどは現実味のあることなのです。背景には少子化もあり、私立大学そのものが生き残りをかけているという状況があります。

 全体の志願者の減少の背景にあるのは明らかに小動物獣医師が過剰になりつつあることが学生の間にも浸透してきているということです。
 国立大学など獣医学部の中で優秀層は、一定、公務員獣医師には就職口はありますし(処遇が悪ければそれでも敬遠される傾向にあることは変わりありません)、まだ生き残りは可能ということなのかもしれません。
しかし、私学が低調なのは、卒業後の獣医師としての活路が見出せないということにつきます。

 しかも、安倍氏がいうように、さらに獣医学部を新設するということになると、さらに獣医師の「インフレ」現象が起きます。
 卒業後の獣医師としての活路があれば別ですが、そうでなければ6年間も高額な授業料を払ってまで獣医師になろうという動機づけが起きません。今でさえ私立の競争倍率が1倍に近づこうとしているのに、これでは入学試験が選抜機能を果たすことはできません。大学の経営を考えれば、合格水準に達しないから落とす、なんてことをしていたら経営が成り立ちません。

 学生の質が落ちることは必然だし、そうした負の状況が更なる優秀な学生の獣医学部離れを引き起こします。こうして負の悪循環に陥ります。高校生にとっても獣医師という職業にインフレ現象が起きていることくらい伝わるわけで、そうなれば受験対象から外されてしまうのは時間の問題なのです。

加計学園問題 獣医師は不足している? 加計学園獣医学部新設は質の低下と混乱だけをもたらす」

 安倍氏は、あのように「全国展開」したらいいなどと言っていますが、現実には加計学園獣医学部新設が認可されてしまえば、さらに新設で続くところは出てくることは考えにくいところです。現状でさえ私立の獣医学部が過剰気味であるのに、そこに割って入っていくのであれば、明確な勝算がなければできないからです。

 しかし、実際にさらに獣医学が新設された場合(京都産業大学が名乗り出るかも知れません)、さらなるインフレ現象に拍車が掛かるのは必至であり、加計学園にとっては大きな誤算になります。今でさえ安定経営に懸念があるのに、さらに獣医学部の新設ということになれば、もはや勝算を見込めることはなく、むしろ岩盤規制だからこそ加計学園が参入してきたことの意味が完全に失われます。
 まさに「殿、ご乱心!」です。

 ところで、このような問題は、既に法科大学院制度の失敗という前例があります。
 法科大学院制度は、司法試験合格者数をそれまでの800人から3000人にまで増やそう、そのための養成機関としての法科大学院制度の導入が提唱されたことが始まりです。
 2001年の司法制度改革審議会でしたが、法曹需要は3000人でも足りないくらいだという需要予測のもと、法科大学院制度を提唱したのです。

 ところが実際にはこのような需要はどこにもなく、法科大学院を卒業しても司法試験に合格できるかどうかの保障もなく、また合格しても費やした期間(最低でも法科大学院2年、受験期間半年、司法修習1年)とコスト(数百万から1000万円と言われている)に見合うだけの活路がないということがマスコミから報道されるに至り、志望者は激減、法科大学院の学生募集停止が相次ぎ、さらに3000人も目指すとされた閣議決定も撤回されました。

 どのように考えたら、ここまで需要予測を間違えることができるのかが不思議なのですが、当時は「改革」という熱にうなさた人たち(日弁連、一部の学者、マスコミ。このときはマスコミは朝日を先頭にむしろ煽っている立場でした。文科省は利権)によって推進されました。当時の「改革」熱にうなされていた人たちは本気で需要があると信じていたようです。
 問題なのは明らかに失敗したとわかった現時点においてですら、未だにこの失敗した法科大学院制度にしがみついているという醜態です。

 獣医学部の新設の問題は、この法科大学院制度の失敗と同じ道なのです。
 獣医師が自由競争すればいいというのはともかく(既に自由競争というより過当競争に入りつつあると思いますが、こうなると志願者減少に向かわせることになります)、獣医学部を競争原理に委ねるなどというのは専門職の質の確保という観点からもあり得ない暴挙です。
 専門職養成を自由競争に委ねること自体、国の責任の放棄です。

 安倍氏の発言は、もはや政策という次元のものではなく、自分の疑惑隠しのための暴論レベルであって、首相としての資質はなく、早々に辞職すべきです。

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主張/「加計学園」新疑惑/憲法に基づく臨時国会の重み
しんぶん赤旗

 国会開会中は野党の質問に「印象操作」などと開き直り「森友学園」や「加計学園」の疑惑をごまかし続けた安倍晋三首相が、閉幕後の記者会見では「真摯(しんし)に説明責任を果たしていく」と発言したのに、新たに明らかになった側近中の側近、萩生田光一官房副長官の疑惑については説明責任を果たさず、自民党は閉会中審査も拒否しています。共産、民進、自由、社民の野党4党は憲法53条に基づく臨時国会を開催するよう申し入れました。国会議員の4分の1以上が要求すれば臨時国会を開くのは内閣の責任であり、開催要求の重みを政府は受け止めるべきです。
「国権の最高機関」の責任
 憲法53条は、「内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」とあります。臨時国会は、通常国会や特別国会とともに、「国権の最高機関」(憲法41条)である国会の重要な審議の場です。野党は週明けには安倍首相にも直接申し入れます。安倍政権は臨時国会開催を速やかに決断すべきです。
 野党が臨時国会開催要求に踏み出したのは、「森友学園」や「加計学園」の疑惑が未解明で、安倍首相も国会閉幕後の記者会見で「何か指摘があればその都度」「説明責任を果たしていく」と述べたのに、閉幕後の19日、萩生田副長官の「加計」疑惑への関与を疑わせる新文書が突き付けられても、説明責任を果たそうとしていないからです。自民党竹下亘国対委員長は閉会中審査にさえ応じるつもりはないと明言しました。
 一部報道を機に文部科学省が20日明らかにした昨年10月21日付の「萩生田副長官ご発言概要」なる文書には、「総理は『平成30年4月開学』とおしりを切っていた」「和泉補佐官からは、農水省は了解しているのに、文科省だけが怖(お)じ気(け)づいている」などとあります。「加計学園」の獣医学部開設をめぐっては、内閣府が「総理のご意向」などと言って文科省に圧力をかけたことや首相官邸和泉洋人補佐官や木曽功内閣官房参与が働きかけていたことなどがこれまで明らかになっています。新文書は、「加計学園」の獣医学部開設が正式決定されるより3カ月近くも前に、萩生田副長官が「加計」を前提に文科省に圧力を加えていたことを示唆する重要な証拠であり、重大な疑惑として、臨時国会を開催して徹底解明すべきです。
 萩生田副長官には、すでに明らかになった文科省の文書でも、獣医学部開設を「加計」1校に絞るために、「国家戦略特区諮問会議」の決定文書に「広域的に」獣医学部がない地域に「限り」、開設を認めると書き込ませ、他校の参入を排除したなどの疑惑もあります。


首相の側近、萩生田氏の関与は「加計」をめぐる疑惑の核心であり、曖昧に済ますことは許されません。
解明しない政府に代わり
 萩生田氏は新文書を「不正確」などと非難しますが、どこが違っているのか、国民の前で説明しようとさえしません。上司の菅義偉官房長官も説明責任を拒否しています。文科省内閣府の調査でさえ食い違っているのに、検証すらしない態度は無責任です。
 行政がゆがめられた疑惑です。国民の政治不信解消のために、疑惑解明の国会の責任は重大です。