アホのミクス時代から目覚めよう

東京新聞記事より

【政治】
いま読む日本国憲法 <第11条>永久に守られる人権
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2016年5月5日 朝刊
 一〇条から四〇条までの第三章は「国民の権利及び義務」です。この中で権利はたくさん出てきますが、国民の義務とされているのは、子女に教育を受けさせる義務(二六条)、勤労の義務(二七条)、納税の義務(三〇条)の三つです。
 ほかに憲法で義務という言葉が出てくるのは、公務員らの憲法尊重擁護義務(九九条)だけ。国家権力から国民を守るため、権利を手厚く認めようという憲法の理念が表れています。
 さて、一一条は国民主権、平和主義とともに憲法の三原則とされる基本的人権の尊重を示す条文です。
 「享有」は「生まれながらに持っている」という意味。つまり、基本的人権は国家や法律に先立って個人が本来的に持つ「自然権」であり、国家権力によって侵されることはないと宣言しているのです。
 ちなみに「永久」という表現は、ほかには戦争放棄を定めた九条と、基本的人権の尊重を念押しした九七条で出てくるだけです。基本的人権は、それほど重視されているのです。
 自民党改憲草案は基本的人権について、今の憲法と同じように「侵すことのできない永久の権利」と定めています。「現在及び将来の国民に与へられる」という表現は削りました。
 同党は草案のQ&Aで「人権規定も、国の歴史、文化、伝統を踏まえたものであることも必要」などと説明しています。
 ◇ 
 憲法の主な条文を解説し、随時掲載しています。
自民党改憲草案の関連表記
 国民は、全ての基本的人権を享有する。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利である。


パナマ文書:情報流出警戒、ネット遮断 入手の独紙記者
2016年05月06日


パナマ文書」を入手した南ドイツ新聞のバスティアン・オーバーマイヤー記者(左)と共に取材を担当した同僚のフレデリック・オーバーマイヤー記者=ドイツ南部ミュンヘンの南ドイツ新聞本社で、中西啓介撮影

 【ミュンヘン(独南部)で中西啓介】中米パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出した内部文書「パナマ文書」を入手した独大手紙、南ドイツ新聞のバスティアン・オーバーマイヤー(38)と同僚のフレデリック・オーバーマイヤー(32)両記者が初めて日本メディアの取材に応じ、租税回避地タックスヘイブン)を利用した不透明な金融取引を暴いたスクープの裏側を語った。

 「データに興味はないか。提供する用意がある」。タックスヘイブンを利用した汚職事件などを長年報じてきたバスティアン記者に暗号通信で連絡が届いたのは1年以上前のことだ。「この文書が報じられることで犯罪行為を明らかにしたい」と提供者は訴えた。

 バスティアン記者は「連絡が電子メールだったのか、何語で会話したのかは言えない」と情報源の秘匿に努める。

 独企業の汚職事件にも登場するモサック社を追っていたバスティアン記者は「それまでモサックの実態は全く分からなかった」と話す。フレデリック記者は「とてつもなくセンセーショナルな文書だとすぐに分かった」。文書には、プーチン露大統領の友人や中国の習近平国家主席の親族、麻薬カルテルなど犯罪組織の関係者も登場した。

 情報が多くの国にまたがり、裏付け取材には人手が必要だった。そして「記者を殺すことなど何とも思わない人物」が含まれるという安全上の問題から、同紙は国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)による共同取材の方針を決めた。

 ICIJは同紙にデータ取材の専門家を派遣。種類の異なるデータをまとめて検索できるプログラムを導入し、参加する約80カ国、約400人の記者が情報を閲覧できる環境を整えた。同紙に次々と送られてくるデータは最終的に2.6テラバイト(テラはギガの1000倍)に達した。膨大な情報量に対応するため、同紙は約1万7500ユーロ(約230万円)の大型コンピューターを購入。情報流出を防ぐため、コンピューターはインターネットから遮断され、設置場所は極秘にされた。

 これまでドイツで行われた汚職事件の裁判記録などと提供資料を照合し、信ぴょう性を検証した。裁判記録にあるモサック社が設立した会社の資料と完全に一致する提供資料も多数見つかったという。

 フレデリック記者はパナマに飛び、モサック社が作ったペーパーカンパニー数千社の代表を務める女性を訪ねた。女性は貧民街に住んでいた。わずかな報酬で名義を貸したとみられる女性は「何の会社か、誰に売られたかは知らない」と語ったという。フレデリック記者は「彼女は国外に出れば逮捕される恐れもある。モサック社のビジネスは貧しい人の搾取そのものだ」と語気を強めた。