安部晋三・森友・加計学園ゲート

加計学園ありき」の想定問答 民進が新たな文書入手
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2017年6月7日 朝刊
学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画を巡り、民進党が入手した新たな文書。文部科学省が同学園選定を前提にしていたとうかがえる
 政府の国家戦略特区制度を活用した獣医学部新設計画を巡り、民進党は六日、安倍晋三首相が新設する方針を表明した昨年十一月時点で、文部科学省が学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の選定を前提に作成したとみられる文書を新たに入手したと明らかにした。文書には学園が計画を進める愛媛県今治市の記載がある一方、新設を要望していた京都府などの表記はなかった。 
 加計学園が事業者に決まったのは今年一月。民進党は既に公表した他の文書、メールと合わせ「計画は今治市加計学園ありきで、京都府の可能性が排除されている」と主張している。
 今回の文書は「国家戦略特区(獣医学部新設)に係る想定問答」と題し、記載内容から昨年十一月九日の国家戦略特区諮問会議に伴う文科相の記者会見などに向けて作成されたとみられる。諮問会議では新設方針が決まり、安倍首相が表明したが、文科相会見は開かれなかった。
 六日の民進党会合で文科省幹部は「文書は承知していないが、今治市は既に区域指定されて獣医学部についての議論もあり、いろいろな可能性をシミュレーションしたのだと思う」と説明した。
 想定問答の文書には、質問として「今治市において獣医学部を設置する特定事業者はどのように選定されるのか」と記載。回答に「特定事業者は、国家戦略特区法上、原則公募で選定することとされており、内閣府において今後公募を実施することになる」とあった。
 「文部科学省としてはどのようなスケジュールで対応を進めるのか。(今治市獣医学部を新設することを決定したということか)」とも記されている。
首相補佐官からの要求「確認できず」 答弁書閣議決定
 政府は六日の閣議で、「加計(かけ)学園」の獣医学部新設計画を巡り、和泉洋人首相補佐官から文部科学省側への働き掛けは「確認できない」とする答弁書閣議決定した。文科省が昨秋、和泉氏に学部新設に関する説明をしたかどうかについても同様に答えた。
 前川喜平・前文科事務次官は、和泉氏と昨年九月に面会した際「総理は自分の口からは言えないから、私が代わりに言う」として、学部新設の手続きを急ぐよう求められたと説明している。
◆「想定問答」文書の要旨 
問 国家戦略特区での獣医学部新設について。
答1 (日本)再興戦略を踏まえ、内閣府を中心として、農林水産省との調整が行われ、本日、国家戦略特区諮問会議において、追加規制改革事項がまとめられた。
 2 関係制度の改正を進めるとともに、内閣府および農水省と連携協力して調整を行ってまいりたい。大学設置認可に係る基準に基づき、適切に審査を行ってまいりたい。
【日程・進め方】
問 文部科学省としてはどのようなスケジュールで対応を進めるのか。(今治市獣医学部を新設することを決定したということか)
答 今後、速やかに関係制度の改正を行った後、内閣府より特定事業者の公募が行われ、区域会議において特例措置を盛り込んだ区域計画を作成し、首相の認定を受けることにより、特例措置の活用が可能となる。
【必要性】
問 「広域的に獣医師系養成大学の存在しない地域に限り」とは具体的に何を意味しているのか。いくつ新設するのか。
答 人獣共通感染症をはじめ、家畜・食料を通じた感染症の発生が国際的に拡大する中で、地域での感染症にかかる水際対策を行うに当たり、広域的に存在しない地域に獣医学部が必要との観点から、新設数については今後のプロセスで判断される。
【特定事業者】
問 今治市において獣医学部を設置する特定事業者はどのように選定されるのか。
答 特定事業者は、国家戦略特区法上、原則公募で選定することとされており、内閣府において今後公募を実施することになる。

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【政治】
「加計」メール 告発、実名で顔出せば「対応検討」 文科相が言及
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2017年6月6日 夕刊
 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の獣医学部新設計画を巡り、文部科学省内で共有したとみられるメールの写しが新たに見つかった問題で、松野博一文科相は六日午前の会見で、職員が実名で告発するなど、出所が明らかにならない限り、調査をしない考えを示した。
 メールは民進党が入手し二日に写しを公表。また、NHKの取材に対し、現役の職員を名乗る男性が文書がメールで共有されたことなどを、匿名で顔を出さずに証言している。会見で、松野氏は「報道があったことは承知しているが、実際にそれが文部科学省の職員から発言があったかどうかについて確認することができないので、それを前提にした質問に答えることは差し控えたい」とした。記者が、「(職員が)実名で顔も出して告発すれば検討するのか」とただすと、「こういったところから出て、ということが明らかになれば、調査に関して対応をしっかり検討する」と話した。
 メールは文科省専門教育課の係長が昨年九月二十七日に「昨日の概要を共有します」と添付ファイル付きで省内の十人余りに送付。メールには送り先の相手の実名も記されている。添付文書には内閣府文科省に早期の獣医学部新設を働き掛けたとされる「官邸の最高レベルが言っている」との記述がある。