籠池氏の代理人として提出した平成29年3月31日付抗議書

これに対し、「寄付依頼書に『安倍晋三記念小学校』の記載がある払込取扱票を同封して使用した期間」に関する事実は、「証言を求める事項」に記載のない事項であり、記憶喚起のために時間を割くことが出来なかった上に、むしろ事務処理に属する事柄であり、時間をかけて資料を参照する等して記憶喚起しない限り正確な証言をすることは難しいが、実際には、籠池氏にそのような時間はなかった。
安倍昭恵首相夫人が幼稚園において講演をしたような「印象のひも付」のされるイベントも存在しないし、籠池氏の役割は、「寄付依頼書に『安倍晋三記念小学校』の記載がある払込取扱票を同封して使用し」ないように指示をするところまでであり、副園長以下の幼稚園の職員が籠池氏の知らないところで残っていた用紙を使用したり、あるいは、他人に渡した用紙が籠池氏の知らないところで使われたかどうかまで、自己の体験事実として把握出来る立場にはなかった。

  ウ しかも、葉梨衆議院議員の場合には、書面の記載内容について質問をする際に、書面を見せることなく、場合によっては、書類を手に持ちつつ、内容を口頭で要約するだけで、書類の内容を確認する機会を籠池氏に与えることもなく、質問をしているが、このように、書面を見せることなく、書面の内容を問う質問は被質問者を混乱させ、記憶の喚起を難しくするだけであり、正確な回答をすることは期待し難い。

エ このように、籠池氏としては、記憶喚起のための時間が不足する中、午前中、午後と記憶を可能な限り喚起しつつ、自らの記憶にしたがった陳述をしたものであり、偽証をしたものではない。

(5)小括
   以上のとおり、籠池氏は偽証をしていない。

3 証人喚問自体について適正な国政調査権の行使と言えるかどうか疑義があること
(1)証人喚問に至る経緯に関する疑義
   そもそも、今回の証人喚問は、与党側が籠池氏の参考人招致すら拒否していたにも関わらず、籠池氏が安倍昭恵首相夫人から100万円を受領したことを述べた途端、自民党竹下亘国会対策委員長が即座に「首相に対する侮辱だ」と反応したことに端を発して決定されており、そもそも、国政調査権日本国憲法第62条)に基づく「国政に関する調査」を目的としたものではなく、一民間人に対する恫喝、口封じを目的とした「スラップ証人喚問」であるとの感が否めない。

(2)その余の関与者に対する対応についての疑義
   証人喚問を担当したのは衆参両院の予算委員会であり、国有財産の処分が重要なテーマである筈にも関わらず、借受け、買受けた側である一民間人の籠池氏が出頭義務、偽証の制裁の課せられる証人喚問であるのに対し、全国民の財産である国有地の借受け、売却等に関する意思決定に関与した上級公務員は偽証罪の制裁のない参考人に止まっていることは明らかに均衡を失する。


(3)証人尋問の態様に対する疑義
   そもそも、籠池証人に対する尋問の中には、端的に事実関係を聞くのではなく、意見陳述か演説か判明しないものが多く、問いの内容もワンセンテンス・ワンテーマになっておらず、事実関係を究明することを目的とするものとは到底思えないものが多々存在した。

   例えば、葉梨衆議院議員の場合には、書類を手に持ちつつ、内容を口頭で要約するだけで、書類の内容を確認する機会を籠池氏に与えることもなく、質問をしているが、このような態度は事実関係の究明を目的とする尋問者の態度とは考えられない。

4 まとめ
   以上のとおり、籠池氏は偽証をしていないことは明らかであり、「偽証である疑いは濃厚」等の発言は、法的な根拠を欠くものであり、同氏に対する名誉毀損であり、その人格と尊厳を著しく傷つけるものであり、そのことを国会議員たる者、特に、元警察キャリア官僚である葉梨衆議院議員がこれを知らない筈はない。

   しかも、上記したような証人喚問に至る経緯、その余の関与者が参考人招致に止まっていること、証人喚問における質問のやり方がフェアとは言えないことに鑑みれば、本抗議書の対象となっている3名の国会議員の発言には、そもそも、公益を図る目的がなく、一民間人に対する人格攻撃、負の印象付けを目的とするものと判断せざるを得ないので、当職らは、本書面により強く抗議するとともに、「偽証である疑いは濃厚」等の発言をただちに、撤回されるように申し入れる次第である。
第3 本書面の送付等について    本書面はご郵送申し上げると同時に、事務所にFAXをさせて頂き、メディア各位に対してもFAXし、また、インターネット上においても公開する。
なお、平成27年9月5日に安倍昭恵首相夫人が籠池氏に対し、金100万円を交付した事実に関する供述については供述の信用性を認めて頂け、偽証の疑いをかけられていないようであることは、誠に重畳なことであると考えていることを付言する。
以上
(全11頁 以下、余白。)