平和とは、あらゆる種が、命をまっとうすること。

政治】
「平和に生きる権利」日本、採決反対 戦争を「人権侵害」と反対する根拠 国連総会で宣言
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2017年2月19日 朝刊
 平和に生きる権利をすべての人に認める「平和への権利宣言」が国連総会で採択された。国家が関与する戦争や紛争に、個人が「人権侵害」と反対できる根拠となる宣言。日本の非政府組織(NGO)も深く関与し、日本国憲法の理念も反映された。NGOは宣言を具体化する国際条約をつくるよう各国に働きかけていく。 (清水俊介)
 日本のNGO「平和への権利国際キャンペーン・日本実行委員会」によると、きっかけは二〇〇三年のイラク戦争。多くの市民が巻き込まれたことをスペインのNGOが疑問視し「平和に対する人権規定があれば戦争を止められたのでは」と動き始めた。賛同が広がり、NGOも出席できる国連人権理事会での議論を経て、昨年十二月の国連総会で宣言を採択した。
 宣言は、すべての人が「平和を享受する権利を有する」と明記。宣言を実施するための「適切で持続可能な手段」を各国や国連に求めた。国連が「平和への権利」を個人の人権として認めた意義は大きい。
 立案段階で日本実行委は「全世界の国民が、平和のうちに生存する権利を有する」との日本国憲法前文を伝え、宣言に生かされる形に。憲法施行七十年となる今年、各国のNGOとともに、国際条約をつくって批准するよう働き掛けを強めていきたい考え。
 ただ、国連総会では、米英などイラク戦争の有志連合の多くが反対。日本も反対に回った。日本外務省人権人道課の担当者は「理念は賛成だが、各国で意見が一致しておらず議論が熟していない」と説明する。
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■ 政治
「テレビで見た」 トランプ米大統領スウェーデンめぐる発言を説明
BBCニュース

ドナルド・トランプ米大統領は19日、南部フロリダ州で18日に開いた集会で、スウェーデンで前日にテロ事件が起きたと発言したことをめぐり、テレビで放送された内容を語っていた、と釈明した。スウェーデン政府は、テロ事件は当日起きていなかったとして、ホワイトハウスに説明を求めていた。
トランプ氏は集会で、テロ攻撃に遭った欧州各地の名前を挙げるなかで、「スウェーデンできのうの夜起きていたことを考えてみてほしい」と述べた。
トランプ氏は19日のツイートで、「スウェーデンで起きていることに関する私の発言は、移民とスウェーデンについてフォックス・ニュースが放送した内容に触れたものだ」と述べた。
フォックス・ニュースの番組は、2013年に大量の移民受け入れを始めたスウェーデンでの、銃を使った暴力やレイプ事件を検証していた。
フォックス・ニュースは、トランプ氏が好んで視聴するケーブルテレビのチャンネルの一つとして知られる。
ホワイトハウスのサラ・ハッカビー・サンダース広報官は、トランプ氏が何か特定の事件について触れていたのではなく、一般的な犯罪増加や最近の出来事について述べていたと説明した。
スウェーデンカール・ビルト元首相はツイッターで、トランプ氏が「何か吸っていた」のではないかと述べ、トランプ氏の発言を揶揄した。
スウェーデンのビルト元首相はツイッターで、「スウェーデン?テロ攻撃?何か吸っていたのか。疑問はたくさんある」とコメントした
トランプ氏はフロリダ州での集会で、「ドイツで起きていることを考えてみてほしい。スウェーデンできのうの夜起きていたことを考えてみてほしい」と語った。
スウェーデン、誰が信じるだろう。スウェーデンですよ。たくさん(の移民を)受け入れた。思ってもみなかったような問題が起きている。ブリュッセルで起きていることを考えてみてほしい。世界で起きていることを考えてみてほしい。ニースもそう。パリもそうだ」
17日にスウェーデンでテロ事件が起きたという情報はない。
スウェ―デンのアフトンブラーデット紙のウェブサイトは、17日の主なニュースとして以下の5つを挙げた。
ストックホルム中心部の広場で男性が自分の体に火をつけた
・人気歌手のオベ・ソーンクウィスト氏のリハーサルで技術的問題が起きた
・職場の事故で男性が死亡
・「悪天候」のためスウェーデン北部で道路が封鎖された
・飲酒運転の摘発でパトカーがストックホルム中心部でカーチェイス
人口約950万人のスウェーデンは近年、20万人近くの難民・移民を受け入れており、国民1人当たりの受け入れ数は欧州で最も高い。
2015年に難民申請者が急増。16万人以上が到着した。国内で移民受け入れをめぐる議論が激しくなっており、賛成反対の両方でデモが行われたほか、移民を攻撃する事件も一部に起きている。
2016年1月には、難民申請者が受け入れ施設で働いていた22歳の女性職員を殺害した事件を受け、政府が難民政策を見直すよう圧力が高まった。
政府が昨年、国境での審査を強化したことで、入国に時間がかかるようになったほか、母国に自らの意思で戻る人に対する財政支援を導入して以来、移民の数は減少した。
スウェーデンが移民に対する門戸開放政策を開始した2013年以降で、同国でテロ攻撃が起きたという記録はない。
一方で、国内にいる過激派組織のいわゆる「イスラム国」(IS)の元戦闘員の人口当たりの比率は、欧州で最も高いとみられている。シリアやイラクに行った300人のうち約140人が帰国しており、政府は社会復帰に向けた方策に苦慮している。
(英語記事 Trump tries to fend off speech ridicule)

■ ライフ
「子供の貧困」を放置すると、中卒の子供が4倍に 数字でわかる日本の貧困問題の深刻度 - 日本財団子どもの貧困対策チーム
文春オンライン

 現在、6人に1人の子供が貧困という日本社会。これを放置すると、年間約40兆円が失われ、国民一人ひとりの負担が増える――。
 日本の最重要課題である「子供の貧困」を、データ分析、当事者インタビューなどで多角的に論じた『徹底調査 子供の貧困が日本を滅ぼす 社会的損失40兆円の衝撃』の著者、日本財団子どもの貧困対策チームがポイントを解説する。

『徹底調査 子供の貧困が日本を滅ぼす 社会的損失40兆円の衝撃』(日本財団 子どもの貧困対策チーム 著)

◆ ◆ ◆
 ある高校生は、生活保護を受けており、塾に通う経済的な余裕がなかった。中学2年生の時に行政から生活困窮世帯向けの無料学習塾を紹介され、大学生ボランティアと必死に受験勉強を重ね、希望の高校に進学することができた。ただ、夢である保育士になるために大学進学を希望してるものの、その進学費用を賄う目処は立っていない。
 また、ある大学生は、父親が家庭内暴力をふるい、母親が育児放棄かつアルコール依存症という家庭で育った。居場所を求め非行に手を染めたこともあったが、福祉職員の勧めで自立援助ホームに入ったことを契機に福祉系の大学を志す。しかし、勉強時間を確保し、進学費用を賄うためには、短時間で多く稼げる風俗に手を出すほかなかった。今は、無事に大学に合格し、将来の夢は自分と同じような境遇にある人を支援することだという。
 こんな子どもたちが抱える「貧困」の問題。今まさに、子どもの貧困問題が日本で深刻さを増している。子どもの貧困率は16.3%にのぼり、実に6人に1人の子どもが貧困状態に陥っている。ひとり親家庭だけでみれば、2人に1人という割合だ。OECD諸国で比較しても日本は下位グループに属する。

?株式会社カーツメディアワークス

 そんな日本において最大の課題は、親世代の貧困が子ども世代の貧困を生む、貧困の連鎖(世代間再生産)だ。家庭の経済格差が子どもたちの教育格差を生み、将来の所得格差を生んでいる。つまり、子どもの貧困問題を放置すれば、低所得層の拡大を招き、国内市場の縮小や財政収入の減少を招くことが想定されるのだ。
「子どもの貧困」と聞くと、どこか遠い国の話題と感じる人も少なくないだろう。もしくは貧困を乗り越えるのは自己責任だと唱える人も多くいる。しかし、子どもの貧困問題は我が国の経済問題であり、当事者のみならず、すべての国民に関係する「あなた」の問題なのだ。

 上記のような問題意識のもと、日本財団子どもの貧困対策チームは、0?15歳の貧困世帯の子どもについて、子どもの貧困問題を現状のまま放置した場合(現状放置シナリオ)と、何らかの対策をうった場合(改善シナリオ)で、彼らの学歴や就業形態、ひいては生涯で得られる所得や支払う税金・保険料(=政府の財政収入)にどれだけの違い(社会的損失)が生まれるかを算出することで、子どもの貧困問題がもたらす経済的影響を推計した。
 まずは、最終学歴別人口の違いをみてみよう。中学卒業者数でみると、改善シナリオでは11万人、現状放置シナリオでは47万人となっており、現状を放置してしまうと、何らかの対策を講じた場合に比べ4倍以上の子どもが中卒のまま社会に出てしまうことになる。我が国の場合、学歴は生涯所得に大きな影響を与えることから、中卒の彼らが貧困の連鎖に苦しむ可能性は高いといえよう。

?株式会社カーツメディアワークス

 次に、職業形態別人口の違いをみてみよう。非正規社員でみると改善シナリオでは48万人、現状放置シナリオでは53万人となっており、現状を放置してしまうと、何らかの対策を講じた場合に比べ1.1倍以上の子どもが非正規社員として働くことになる。学歴の低さに加えて、非正規社員のような低所得かつ不安定な職業についてしまうと、貧困の連鎖は益々拡大していくことだろう。

?株式会社カーツメディアワークス

 では、彼らが生涯で得る所得、支払う税金・保険料(=政府の財政収入)でみると、どうだろうか。所得、税金・保険料双方について両シナリオの差分(社会的損失)を計算すると、所得は約43兆円、財政収入は約16兆円という推計結果を得た。43兆円とは国家予算の半分に匹敵する規模であり、その影響は甚大である。また、推計対象の世代を広げれば、この数値は何倍にも膨れ上がっていく。子どもの貧困対策は、単なる社会問題ではなく、日本の成長戦略の礎をつくる政策として立案されるべきものなのだ。

?株式会社カーツメディアワークス

 本書では、これら推計の詳細な解説はもちろんのこと、冒頭で紹介したエピソードを盛り込んだ当事者へのインタビューを紹介している。また、問題の実態だけでなく、対策についても国内外の先進事例を盛り込んだ。
 本書刊行後、大学等の研究者・専門家からNPO等の現場の支援者まで幅広い方から温かい評価をいただいた。

本書を契機として講演や寄稿、取材の依頼を多くいただき、改めて本問題への関心の高さを感じている。著者一同、本書を多くの方に読んでいただくことで、子どもの貧困問題を「ヒトゴト」でなく、「ジブンゴト」としてとらえる人が少しでも増えるよう願っている。 日本財団 子どもの貧困対策チーム
深刻化する子どもの貧困問題に対応する専任部署として日本財団に2015年より設置。同年12月に「子どもの貧困の社会的損失推計レポート」を発表し、子どもの貧困を放置した場合の経済に与える影響を日本で初めて試算した。
・活動の詳細
http://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/ending_child_poverty/ 徹底調査 子供の貧困が日本を滅ぼす 社会的損失40兆円の衝撃 (文春新書)
日本財団子どもの貧困対策チーム(著)
文藝春秋
2016年9月21日 発売
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