軍が学者を買う

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米軍が日本の研究者に資金提供
小宮山洋子

アメリカ軍が、2000年以降、日本国内の、少なくとも12の大学と機関の研究者に、2億円を超える研究資金を提供していたことがわかった、と報じられています。アメリカ政府が公表している情報を基に、共同通信が取材しました。これからは、政府の集団的自衛権の行使容認で、一層増加する可能性があり、軍事と研究のあり方を巡って議論になると思われます。
アメリカ政府は、この12の大学、機関を含む国内の26の大学などの研究者に、資金と提供した、としています。このうち12の大学、機関が受け入れを認め、総額は2億円を超えました。日本の学術界では、先の大戦の反省から軍事研究と距離を置いてきましたが、最近は研究費不足や、軍事技術と民間用技術の境目があいまいになっている傾向から、抵抗感が少なくなっていて、統一ルール作りが必要との声も出ている、とのこと。
現在は、十分な透明性が確保されていないので、やはり軍事研究につながる可能性がある資金提供については統一ルールが必要だと思います。また、事後に検証できる仕組みづくりの必要性も指摘されています。公表されている大学でも、文書の保管期間が過ぎている、などの理由で、確認できないという回答が少なくなかった、ということです。いくら研究費が不足しているといっても、軍事利用が明らかな研究要請に応じるのは、科学者として恥ずべきことなのではないか、と考えるのは私だけでしょうか。
日本でも、防衛省が、今年度、軍事技術に応用できる研究に最大年3千万円を支給する公募制度を創設した、ということです。集団的自衛権が行使できるようになり、さらにこうした軍事研究が加速されることは間違いないので、あり方についての議論を急ぎ、統一ルールを早く作ってほしいと思います。