改憲し、第二次大戦以前のように戦争したいとHitlerの孫は演説する

中日新聞社説転記
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2015年2月16日
与党安保協議 際限なき拡大を憂う
 安全保障法制の整備に向けた与党協議が始まった。集団的自衛権の行使容認を受けたものだが、自衛隊の活動を際限なく拡大していいのか。海外での武力の行使を禁じた憲法を逸脱してはならない。
 自民、公明両党の安保法制協議は約七カ月ぶり。安倍内閣が昨年七月に閣議決定した「集団的自衛権の行使」容認など、新しい安保政策を法制化するのが目的で、三月中に関連法案全体の骨格をまとめ、政府は五月の大型連休後に法案を提出するという。
 協議は、日本への武力攻撃とは認められないが、警察力では対処できない侵害「グレーゾーン」事態への対応から議論を始めた。
 日本周辺で警戒活動中に攻撃された米軍部隊を、自衛隊が武器を使って防護できるようにすることでは自公両党は一致したという。
 さらに政府側は、日本周辺で自衛隊と共同訓練を行うオーストラリア軍を念頭に、防護対象の米軍以外への拡大も提案した。
 オーストラリアはアジア・太平洋地域の重要な友好国だが、安全保障条約を締結し、日本の施政下にある領域の防衛義務を負う米国とは明らかに違う。
 昨年の閣議決定にも米軍しか防護対象に明記されておらず、オーストラリア軍に限らず、他国軍にまで防護対象を広げるのは明らかに行き過ぎだ。公明党が難色を示したのは当然である。
 グレーゾーン事態に限らず、首相官邸自民党は、自衛隊の活動範囲拡大に前のめりが過ぎる。
 首相官邸自民党は、自衛隊を海外に派遣するための恒久法制定を目指す。地理的な制約なく、迅速に派遣するためだという。
 しかし、国会承認手続きを盛り込んでも、政府の裁量範囲が広がり、歯止めはかかりにくくなる。
 日本の国民と領域を守るために存在する自衛隊の海外派遣は例外的であるべきで、仮に必要性が生じた場合には、その都度、特別措置法で対応するのが望ましい。
 そもそも、与党協議の前提となっている集団的自衛権の行使は外国同士の戦争に参戦するものであり、海外での武力の行使を禁じた憲法九条とは相いれない。
 首相官邸自民党の行き過ぎに歯止めをかける公明党の役割は大きいが、密室の与党協議で法案の骨格が固まっていくことには危惧を抱かざるを得ない。
 法案をまとめ、国会に提出した後にこそ十分な時間をかけて徹底議論すべきだ。数の力で成立を強行することがあってはならない。
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