安倍氏に対する帰れコール

■ 政治
安倍氏に対する帰れコール そういう声が起きても当然の政治情勢 大衆の面前に顔を出すなら臨時国会を召集してからだ
猪野 亨

 東京都議会議員選挙がいよいよ最後の運動日を終えました。その最終盤でようやく顔を見せたのが自民党総裁である安倍氏です。
 これまで公衆の面前には顔を出さず、特定の人たちが集まる講演会やらで言いたい放題だった安倍氏ですが、選挙の最終日にようやく顔を出したわけです。
 この候補者が安倍氏が応援演説に来たことを喜んでいるかどうかはわかりませんが。
「“首相載っているから自民ビラ配られない”」(赤旗新聞2017年7月1日)
「「厳しい選挙です。この場で自民党のビラが配られないのはどうしてかわかりますか。安倍首相が載っているからです」。30日、葛飾亀有駅前の演説で、こう嘆いたのは自民・舟坂誓生候補。配れないのは同党の法定ビラで「信頼の一票」のスローガンとともに、安倍晋三首相の顔写真が大写しにされています。」
党員にとっても恥ずかしい存在か

 その安倍氏に対して聴衆から、「帰れ」コールが繰り広げられました。
 その気持ちはわかりますよね。共謀罪法案を強行採決した国会ではろくに審議もせずさっさと閉会し、加計学園問題や森友学園問題では野党の追及が嫌なものだから、臨時国会召集せよという要求も無視するという憲法無視を露骨に示しました。

 安倍氏は誠実に説明すると言っておきながら、全く説明もせず、かえって、獣医学部を全国展開したらいいなどと開き直りでしかない暴論を述べるにいたっては正気の沙汰ではありません。
「殿、ご乱心! これでは加計学園も…血迷った安倍氏 獣医学部を次々に新設?! 法科大学院制度が通った道を着実に後から行く」

 その安倍氏がようやく公衆の面前に出てきたわけです。身内だけのところではなく、安倍氏に反対する人たちの前にようやく顔を出したのです。これまではずっと身内の前だけにしか姿を見せませんでした。
「安倍首相、初応援は4日目に屋内=逆風の都議選、露出控えめ」(時事通信2017年6月26日)
安倍晋三首相は26日夜、東京都議選の応援で、文京区内の自民党候補の集会に出向き演説した。首相の応援は告示から4日目で初めてで、姿を見せたのは支援者らが集まる屋内。学校法人「加計学園」の獣医学部新設問題などで政権に逆風が吹く中、露出は控えめとなっている。」
 安倍氏がようやく大衆の面前に顔を出したのですが、安倍氏の口から出たのは、加計学園問題の真相ではありませんでした。
 安倍氏加計学園問題の真実を語るなら、みな黙って聞いています。楽しみですから。本当はヤジの1つも飛ばしたくなるような場面でしょうが、そこは我慢して聞かないと。
 しかし、安倍氏の話は違いました。この疑惑に対して黙りを決め込んだ人がよくも大衆の面前に出てこれるのかとその神経を疑います。

 都議会議員選挙が始まっても、表に出てくることのなかった安倍氏が、最後の日になってようやく出てきたのは、逆風が吹く自民党支持層の底上げではありません。安倍氏自身が逆風の主人公だからです。
 その安倍氏が何故、出てきたのかはよくわかりません。最後の日くらい顔を出さなければ自民党総裁としての威信に関わるという判断だったのかもしれません。

 安倍政権の支持率が下落する中で、自民党支持率も下落傾向にあり、安倍総裁の求心力は低下傾向にあります。一度も総裁が選挙で顔を出さなかったということになれば求心力は一層、低下してしまうでしょう。アリバイ的に顔を出したというところでしょう。