刎頚の友(ふんけいのとも) 趙には「和氏の璧」(かしのへき)

刎頚の友(ふんけいのとも)




趙には「和氏の璧」(かしのへき)という天下に名高い国宝がありました。
※「和氏の璧」の画像ではありませんが壁とはこのようなものです。

秦王はぜひともこの「和氏の璧」がほしいから秦の15城と交換しないかと言ってきました。
趙の側としては願ってもいない破格の好条件です。
しかし、約束が守られる保障はまったくありません。
それでも「和氏の璧」を持って秦に伺うのが礼儀。(当時の秦は中国一の強国)

この大役を任されたのは「食客」という一芸に秀でているが、
身分は低い、藺相如(りんしょうじょ)という男。

藺相如(りんしょうじょ)は秦に奪われそうになった「和氏の璧」を、
持ち前の話術を駆使して無事に持ち帰りました。

「完璧」という言葉は、この「壁を守る役目をまっとうして帰る」が由来です。

この大手柄によって藺相如(りんしょうじょ)は大臣に抜擢される大出世を遂げますが
このことを、こころよく思っていない男がいました。叩き上げの将軍、廉頗(れんぱ)です。

いくつもの命がけの修羅場をくぐって、のし上がって来た廉頗(れんぱ)にとって
口先だけで自分より上の位に出世した藺相如(りんしょうじょ)のことは腹立たしい存在でした。
周りにいつも不満をぶちまけ敵意をむき出しにしていました。

このことを知った藺相如(りんしょうじょ)は廉頗(れんぱ)に出来るだけ出くわさないように
別の道を通ったり、なるべく外に出ないようになるのですが
このことで藺相如(りんしょうじょ)は自らの家臣からも見放されることになります。

ある時、藺相如(りんしょうじょ)は家臣を集めて言いました。
「私には秦王より怖いものがある。それは趙の中で仲間割れが起きることだ。
それが回避できるなら私の面子などどうでもいい」
このことを聞いた家臣はみな感動し、この話は廉頗(れんぱ)の耳にも入りました。

自らを恥じた廉頗(れんぱ)は藺相如(りんしょうじょ)の元へ謝罪に来ました。
そしてこれほど趙のことを思っている藺相如(りんしょうじょ)の為なら
首をはねられても悔いはない、お互いがそれぞれ、
首をはねられても趙のために戦おうと誓い合いました。
藺相如(りんしょうじょ)と廉頗(れんぱ)の二人が健在のうちは秦は攻めて来なかったといいます。