錯誤策のみ考えれる人物

■ 政治
安全保障・同盟維持に何倍もの努力をせねば、この国の独立は保てない〜石破地方創生大臣「これからの政治課題を考える」前編
BLOGOS編集部

写真一覧 19日、石破茂・地方創生担当大臣が「これからの政治課題を考える」と題し講演を行った。石破氏は、安全保障問題から、地方創生、自身の立ち上げた新しい自民党内の派閥「水月会」の話題まで、企業経営者らを前に幅広く語った。

本記事では、安全保障問題について語った部分をお送りする。(後編:国民を信じない政治家が国民に信用されるなんぞということは考えない方がいい〜石破地方創生大臣「これからの政治課題を考える」はこちら)

この国の国民は、"国の独立"というものをどれほどまともに考えたことがあるんだろう これはもともと産経新聞論説委員の河合雅司さんがお使いになった言葉ですが、私は今の状況を称して「静かな有事」なのだという認識を致しております。"有事"というのは、なにも外国が武力をもって我が国に侵攻することのみをもって言うわけではございません。国家主権の三要素と申しますが、領土と国民と統治機構、この三つによって国家は成り立っております。"国の独立を守る"ということは、すなわち領土を守ることであり、国民を守ることであり、統治機構を守ることであります。

北方領土がどこにあるかというのは、大体みんなわかっているんですけど、じゃあ竹島はどこにあるかと言いますと、正確に言える人はきわめて少ないのでありますし、なぜ竹島が歴史的にも国際法的にも日本のものなのかということを韓国の方々を相手にしてきちんと語れる人をあまり見たことがありません。韓国の方は、ほとんどが、なぜ独島が日本のものではなくて韓国のものなのか、を滔々と語ります。

かつてフォークランドがアルゼンチンに取られた時、サッチャーは即座に決断して、大艦隊を送って奪回を果たしました。ちっちゃな島ひとつを失う国は、やがて国すべてを失うのであって、国家主権の中で領土というのはもっとも重要な要素の一つでございます。二番目は国民であって、なんで北朝鮮拉致問題に政府が全力を挙げて取り組むかと言えば、国民一人の生命・財産を助け出すことができないような国は、やがて国民すべてを失うのだということだと思っております。三番目は、もちろん外国人の人権を最大限に尊重するという前提付きで申し上げているのでございますが、中央政府であれ地方政府であれ、その国の統治はその国の国民が行うということであります。

領土と国民と統治機構。これが国家独立の三要素なのであり、これが国家主権なのであり、この三つだけは何が間違っても外国に指一本触れさせてはいけないというのは、イデオロギーとか政治体制とか、そういうものとは関係なく、独立国家とはそういうものでございます。

で、領土を一生懸命守ります、そして統治機構も守りますと言いましても、仮に出生数と死亡率が今後一定数で推移すると、この国は今後どうなりますでしょうか。今、1億2700万人いるんでございますが、これがあと85年経つと、半分以下の5200万人になります。あと200年経ちますと、1391万人に、300年経つと423万人になり、西暦2500年には44万人、西暦3000年には3000人。日本人はやがていなくなる。出生率と死亡率がこのまま一定で推移すると、必ずこうなることになっております。

その時に生きてないから知らない、というのはあまり良い考え方ではありません。そんな1000年先のこと俺は知るかということかも知れませんが、いまから1000年前って言ったらば、平安時代の末期であり、源氏物語なんてのが書かれたのがその時代でございましょう。

つまり、長い長い歴史の流れから見れば、1000年なんてあっという間の出来事でありまして、このままどんどん国民が減っていく事態をどのように考え、どのようにしてこれを止めるか。このまま行くとどうなりますか、一体どういうことに直面してこの地方創生を講じていきますかというお話です。

じゃあこの国の国民は、"国の独立"というものをどれほどまともに考えたことがあるんだろう。田中美知太郎先生は、"この国には国民主権自体が無いのではないか"ということを論じておられますが、私も小学校、中学校、高等学校、大学と出ていますが、国の独立とは何かってのをきちんと教わったこともないし、国家主権とは何かをちゃんと教わったこともない。

国の独立を守るのが軍隊で、国民の生命財産、公の秩序を守るのが警察でございます。同じ実力集団ですが、その目的は全く異なる、ということを習った人はほとんどいない。似たようなものではないかとお思いの方もおられるでしょう。全然違います。

国の独立を守るのは軍隊、我が国では自衛隊です。したがって、その作用はすぐれて対外的に向けられたものであって、対内的に自衛隊の力というものを用いてはなりません。もちろん、災害派遣で活躍することはございます。一度も発動されたことはございませんが、「治安出動」という、警察力をもってしては足らない場合に自衛隊が出ることはありますが、それはあくまで警察権の行使として活動するのであって、軍隊として活動するわけではございません。

逆にNY市警が東京で大活躍という話を聞いたこともないし、警視庁がパリで活躍という話も聞いたことがないのであって、警察の作用は優れて対内的なものです。独立を守るのが軍隊ですよ、ということを教わった人はほとんどいない。

日本国憲法自衛隊の規定がないのは当たり前の話であって、日本国憲法ができたとき、我が国は独立してませんでしたから、独立を守るための組織が憲法に書いてないのは当たり前のことであります。

なんで国の独立が大事なんでしょうね、と考えると、我々は基本的人権を享受していることになっていて、言論の自由があり、信教の自由があり、あるいは報道の自由があり、結社の自由がありと、いろいろな基本的人権を享受しております。それが侵害された場合、例えば「そんな演説やめろ!」とかですね、「この新聞は発行停止だ!」とかいうことになった時に、そんなことしてはいけませんよと言って、その侵害行為を止め、除去するのは国家以外にございません。

その国家そのものが存亡の危機に瀕したとするならば、誰が日本国民の、報道であり、言論であり、結社であり、信教であり、そういう自由を守ってくれるんですか。だから、国家の独立と言うと、すぐナショナリズムという話になりますが、そうではなくて、国民の色々な権利、自由を守ってくれるのはその国家以外ありえないので、独立が必要なのだ、というような議論をする人を私はあんまり見たことがないが、そういうものなのだと思っております。 写真一覧 同盟の維持に、何倍もの努力もせねば、この国の独立は保てない 集団的自衛権をめぐって色々な議論がありました。集団的自衛権というのは、アメリカと一緒になって世界中で侵略行為をしたがるとか、そういうとんでもない国になるという議論をされる方も随分おられましたし、憲法違反だという方も随分とおられました。

私は担当大臣ではないので答弁に立つ機会はもちろんございませんが、思っていたのは、そもそもなんで集団的自衛権なんて権利がわざわざ国連憲章に書かれたんでしょうねっていうお話でございます。

第一次世界大戦が終わって、大勢の人が死にました。もうあんなことはこりごりだということで、アメリカの提唱による国際連盟ができたというのは歴史の時間に習いました。
国際連盟がちゃんと機能していたら第二次世界大戦にはならなかったはずで、なんで国際連盟が機能しなかったかってのはいろんな理由あるでしょうけど、一番の理由はアメリカがそれに参加しなかったから。自分たちで言い出しておきながら、アメリカ合衆国国際連盟に参加をいたしませんでした。当時アメリカであった議論は、合衆国には合衆国の利益があるので、他の国が何と言おうと合衆国の利益が貫徹されねばならないという、ある意味でアメリカらしい議論ですが、それで入らなかったんです。

第二次世界大戦で大勢の人がまた死んで、もうこりごりだということになりました。国際連合=United Nations、日本語で訳せば「国際連合」。他の漢字使用国ではこれを「国際連合」と訳したりしません。中国はそのものずばり「連合国」と訳しております。連合国機構ですね。"United Nations"という言葉に"international government"という意味はまったくございません。もっとはっきり言うと、第二次世界大戦に勝った国の集まりが戦勝国連合として"United Nations"として発足した。これは歴史で習ったところです。

国連憲章ちゃんと読んで下さい。侵略戦争はもちろんだめですが、自衛戦争もだめですと書いてありますね。戦争違法化っていうのはそういうことでございます。

じゃなんなんだと。侵略戦争がダメなのはまだわかるが、自衛戦争もダメ、だったら悪い国からやられたら一体どうしてくれるんだという話になる。心配するな、そのときは国際連合がものの見事にそのような侵略は排除してやる、ってな話です。よかったよかった、という話ですが、アメリカを入れるためにアメリカが反対したら他の国がなんと言おうと何も決まらない仕組みを作りました。拒否権というものです。常任理事国というものです。

他の国が何を決めようが、合衆国が反対したら何も決まらないという仕組みを作って、国際連合というのはスタートした。アメリカだけにそんな権利あるわけねーだろ、うちにも寄越せといったのはソビエトであり、イギリスであり、フランスであり、中華民国であった。今はアメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中華人民共和国。この五カ国が拒否権を持っておりまして、この五カ国のいずれかが拒否したら国連は来てくれません。