暴君バノン・トランプ本領発揮

■ 政治
最高裁判事指名受けたゴーサッチ氏 トランプ氏の司法批判は「残念
BBCニュース

ドナルド・トランプ米大統領最高裁判事に指名したニール・ゴーサッチ氏は8日、入国禁止令の執行差し止めを命じた連邦判事や司法に対する批判をトランプ大統領が繰り返していることについて、「やる気を失わせる」、「残念」などと語った。
ゴーサッチ氏の発言は、民主党所属の上院議員との会話で述べられたもので、同氏の広報官も認めた。
トランプ大統領は、先月末に署名した、イスラム教徒が多数を占める特定7カ国の人々の入国禁止を含む大統領令の一部について執行差し止めを命じた連邦判事について、「いわゆる裁判官」と呼び軽んじたほか、「何か起きれば」判事などの責任だと述べた。
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入国禁止令をめぐっては、連邦控訴裁判所で大統領令の履行を求める司法省とワシントン、ミネソタ両州政府双方の主張について審理が行われている。
執行差し止めを命令したシアトル連邦地裁のジェイムズ・ロバート判事は、入国禁止令が憲法に違反しているとしている。
トランプ氏はこれに対し、「我々の国から法執行を実質的に奪う、いわゆる裁判官の意見はばかげていて、くつがえされるだろう」とツイッターでコメントした。
(英語記事 Trump attack on judges 'demoralising' says Supreme Court pick)

政治
通常国会のアキレス腱となった金田と稲田、それに文科省
五十嵐仁

 通常国会で予算員会での審議が続いています。沢山の問題点が明らかになっていますが、なかでも共謀罪南スーダンへのPKO派遣、文科省天下り問題が焦点になりつつあります。
 いずれも、安倍政権にとってのアキレス腱になってきています。とりわけ問題の文書を配った金田勝年法相、国会答弁で居直っている稲田朋美防衛相は責任を取って辞任するべきでしょう。

 民進・共産・自由・社民の野党4党は国対委員長会談で「共謀罪」の成立要件を絞って「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案をめぐる法相の対応が「資質に欠ける」との認識で一致し、金田法相の辞任要求を自民党竹下亘国対委員長に電話で伝えました。法案について「国会提出後に議論すべきだ」とした法務省文書を記者団に配布して批判され、撤回した不始末の責任を問われたわけです。
 この法案は「病気の予防を名目にして毒を飲ませる」ようなもので、「現代の治安維持法」にほかなりません。「一般人は対象にならない」などと言って「飲ませ」ようとしている点も、治安維持法のときとそっくりです。
 罪を犯せば捕まるというのが近代刑法の原則ですが、「犯罪」の相談をしただけで捕まえられるようにしたいというのが、この法案の目的です。「考え」や「思い」が取り締まりの対象になり、その相談内容が「犯罪」であるかどうかは捕まえる側の判断に任されます。

 論点は多岐にわたりますが、金田法相はちゃんと答えられません。「法律は得意じゃないんだ。どんな内容になるか分からないし。答えるの面倒だから、質問するのは法案が出てからにしてくれないかなー」と思ったのでしょう。法務省の役人に文書を書かせて記者団に配ってしまいました。
 行政府の責任者が立法府での法案審議について注文を付けたことになります。 政府の長でありながら「立法府の長」だと言ってのけた安倍首相と同様の大間違いです。
 法案提出前からの辞任要求は異例ですが、それだけ問題が大きいということになります。金田さんは「国会の審議テーマに注文をつけるような意図は全くない。文書を撤回し、おわびする」と改めて謝罪していますが、とっとと辞任すべきでしょう。

 辞任すべきなのは、稲田さんも同様です。南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊部隊の昨年7月の日報に、南スーダン政府軍と反政府勢力との間で「戦闘が生起」と記述されていた問題で、「法的な意味での戦闘行為ではない。
武力衝突だ」と説明しました。
 「一般的な辞書的な意味で戦闘という言葉を使ったと推測している。武器を使って人を殺傷したり、物を壊したりする行為はあった」とも述べています。また、防衛省が当初、日報を「廃棄した」としていたことについては「私もさらに探索するよう指示していた。隠蔽(いんぺい)との指摘はあたらない」と釈明しました。
 この日報の公開要求を行っていたのは『平和新聞』編集長の布施祐仁さんです。2月1日付でこのブログにアップした記事「政治転換の機は熟している」は、この布施さんからインタビューされたものでした。

 日報の公開要求が出されたのはPKOへの追加任務が問題にされていた頃で、安倍首相も「戦闘」ではなく「衝突」で現地は安全だと強弁していました。そのような時に「武力衝突」が明記されている文書が明るみに出れば、大騒ぎになったことでしょう。
 「こんな時に公開することはできない。廃棄したことにしよう」と考えたのではないでしょうか。その後、再調査が指示されたこともあり、いつまで隠せるかわからないから「別のところから発見されことにして公開しよう」と思ったのかもしれません。
 「見つかった」とされるのは昨年12月の末です。その後、実際に公開されるまで1カ月もかかったのは、「どのように言い逃れしようか」と頭を悩ませていたからではないでしょうか。

  稲田さんは、「戦闘行為」の有無について「事実行為としての殺傷行為はあったが、憲法9条上の問題になる言葉は使うべきではないことから、武力衝突という言葉を使っている」と述べています。つまり、「戦闘行為」が9条違反であるということを知っているのです。
 だから、この言葉を使うのを避けたというわけです。しかし、現地の自衛隊員は、そこで「戦闘行為」があったことを認めていました。
 言い変えによって事実をねじ曲げ、憲法違反を誤魔化し、隠ぺいした責任を回避しようとしているのが、稲田さんの答弁にほかなりません。このような「ポスト真実」による居直りを許してはなりません。

 許してならないのは、文科省の再就職あっせん問題も同様です。松野文科相は人事課OBである嶋貫和男氏の仲介について同省が「再就職支援業務」と認識し、必要な執務室や活動資金などを差配してあっせんを組織的に依頼していた可能性が高いとし、歴代の事務次官らもそれを認識していたと語りました。

 歴代の事務次官にすれば、「やっていたのは知っていたよ。悪いことだと思うわけないだろ。先輩が後輩の就職を世話してんだから。それに、いつかは私もお世話になるつもりだったし」というところでしょうか。文科省の組織ぐるみだったということです。
 それがどれほどの規模になるのか、他の省庁はどうなのか。全容解明はこれからの課題になります。

 国会と野党の真価が問われています。事実の解明と責任の追及という点でも、野党共闘の力が発揮されることを期待したいものです。

■ 政治
トランプ氏、娘のブランド販売中止で百貨店攻撃 民主党は非難
BBCニュース

ドナルド・トランプ米大統領は8日、高級百貨店ノードストロムが娘イバンカさんの名前を掲げたファッションブランドの販売を中止したことについて、ツイッターで同社を批判した。これに対して民主党は、公私混同の不適切なツイートだと強く非難している。
トランプ氏は個人アカウントから、「娘のイバンカはノードストロムにすごく不当な扱いを受けてる。彼女は最高の人間だ。いつも僕に正しいことをさせようとしてくれる。最悪だ!」と書いた。また大統領公式アカウントも、トランプ氏のこのツイートをリツイートした。

Twitter

トランプ氏のツイートの後、ノードストロム社の株価はいったん0.7%下がったものの、その後は上がり続け、前日比4%高で引けた。
民主党のボブ・ケイシー上院議員ペンシルベニア州選出)の報道担当は、「民間企業が大統領の家族の金儲けに協力しないからといって、大統領が企業を罵倒するのは、倫理に反し、不適切だと上院議員は考えている」と声明を出した。
オバマ政権の元主任倫理顧問弁護士で前駐チェコ大使のノーマン・アイゼン氏(ブルッキングス研究所客員研究員)も、トランプ氏の振る舞いは「言語道断」だと強く非難。ノードストロム社はカリフォルニア州不正競争防止法にもとづき、トランプ氏を訴えるべきだと述べた。
イバンカ・トランプさんの名前のファッションブランドの販売を中止する小売業者は、ノードストロムで5社目。1月末に販売中止を発表した同社は、あくまでもイバンカさんのブランドの売り上げ低迷が理由だと説明している。
「ブランドの売り上げは一貫して減り続けていた。そのため現状では我々にとって、販売の継続は正しい経営判断にならない」と同社は発表し、イバンカさん自身には1月前半に販売中止を伝えたことを明らかにした。
ホワイトハウスのショーン・スパイサー大統領報道官は、ノードストロム社の判断は政治的なものだと反論。大統領は単に自分の娘への「攻撃」に反応しただけだと弁明した。
「これは(大統領の)政策と彼女の名前に対する直接的な攻撃だ。大統領の政策が嫌だからと娘の名前を中傷され、大統領がそれに対して娘を応援したのだ」と報道官は定例会見で述べた。
トランプ大統領に反対する人たちは、トランプ一族が関わるあらゆる商品のボイコットを呼びかけている。ボイコット運動が使うハッシュタグ「#GrabYourWallet(財布をわしづかみにして)」は、トランプ氏による「(女性器を)わしづかみにする」という2005年の発言を念頭においている。
6日にはメラニア・トランプ夫人が、自分のブランド力によって巨額の利益を得る「一生に一度の機会」を報道によって失ったとして、英紙デイリー・メールを提訴。こちらも、ファーストレディーの立場をビジネスに利用しようとしていたともとれる内容の訴状が、批判されている。
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<解説> これは今までの攻撃とは違う ―― アンソニー・ザーチャー、ワシントン
ハリー・トルーマン大統領は1950年、米紙ワシントン・ポストの音楽批評家ポール・ヒューム氏に怒りの手紙を書き送った。大統領の娘マーガレットさんの歌唱を手厳しく批判されたからだ。
あれから66年。別の大統領がまたしても自分の子供のために立ち上がった。
トルーマン大統領は、この手紙のせいでさかんに馬鹿にされた。しかしノードストロムを攻撃したドナルド・トランプ大統領のツイートは、それよりも深刻な結果につながるかもしれない。大統領が世界に発信する道具を使って、娘の名誉を守るだけでなく、家族のビジネスに利益をもたらそうとしたのは、はたして適切なのか。その点が問われることになったからだ。
トランプ氏はこれまでも民間企業を攻撃してきた。しかし少なくともそれは、米国の経済利益のためという名目があった。しかし今回のこれは違う。これは個人的な話だ。
政治倫理の専門家たちは、大統領としての立場と家族の金銭的利害関係の間に「ファイヤーウォール」を設けるからという大統領のこれまでの言い分は、不十分だと警告してきた。
そして今回のことで大統領自身の行動が、決定的な証拠となるのかもしれない。大統領でいる以上、所有する事業を完全に清算するよう求める訴訟が想定されるだけに。
しかも皮肉なことに、トランプ氏のツイートは逆効果かもしれないのだ。何かあったら大統領や支持者から攻撃されかねないと分かっていて、それでもなおイバンカ・トランプと組みたいという小売業者が、果たしているだろうか。
(英語記事 Trump under fire in Nordstrom Ivanka row)