日本国憲法

第九十五条 一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。

第九章 改正

第九十六条  この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
○2  憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

第十章 最高法規

第九十七条  この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

第九十八条  この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
○2  日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。

第九十九条  天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

第十一章 補則

第百条  この憲法は、公布の日から起算して六箇月を経過した日から、これを施行する。
○2  この憲法を施行するために必要な法律の制定、参議院議員の選挙及び国会召集の手続並びにこの憲法を施行するために必要な準備手続は、前項の期日よりも前に、これを行ふことができる。

第百一条  この憲法施行の際、参議院がまだ成立してゐないときは、その成立するまでの間、衆議院は、国会としての権限を行ふ。

第百二条  この憲法による第一期の参議院議員のうち、その半数の者の任期は、これを三年とする。その議員は、法律の定めるところにより、これを定める。
第百三条  この憲法施行の際現に在職する国務大臣衆議院議員及び裁判官並びにその他の公務員で、その地位に相応する地位がこの憲法で認められてゐる者は、法律で特別の定をした場合を除いては、この憲法施行のため、当然にはその地位を失ふことはない。但し、この憲法によつて、後任者が選挙又は任命されたときは、当然その地位を失ふ。

■ 政治
日本国憲法こそ素晴らしい 改憲は破滅の道 世論誘導に騙されてはいけない
猪野 亨

 日本国憲法が施行70周年を迎えました。
 日本国憲法があったからこそ、日本は平和を享受してきました。今後もなお一層、この平和憲法の理念を堅持し、そして世界各地に起こる戦争に対し、日本こそが断固、反対し、その先頭に立つことが求められています。

 しかし、安倍晋三氏は、憲法「改正」に並々ならぬ執着心を示しています。
 何故、そんなに日本国憲法を「改正」したいのでしょうか。現行憲法のどこに不都合があるというのでしょうか。

 私たち国民にとって現行憲法に不都合なところなど全くないのです。
 しかし、政権側に不都合があるというのですが、これは何故だかわかりますか。

 安倍氏がこれまでずっと言い続けてきたのが戦後レジームからの脱却でした。
 そこにあるのは戦前回帰であり、「大日本帝国」の再建です。教育勅語を教材として用いることさえ、その道を開きました。銃剣道が学習指導要領の中に明記されましたが、これが武道などというのは詭弁もいいところで、戦前回帰そのものです。

 安倍政権が憲法を「改正」したがっているのは、憲法が権力を縛るという立憲主義に基づいているからです。憲法は権力の行使を制限するための規範です。国家権力の濫用から国民の人権、自由を守る、これこそが憲法の目的です。
 しかし、憲法によって国家の権力が縛られるということが安倍氏にとっては許せない、ということなのです。

 先般、トルコでは大統領権限を拡大することを目的とした憲法改正が承認されました。エルドアン大統領が自らの権力を拡大するための憲法改正であり、自分を縛るためではありません。立憲主義の後退なのです。
「トルコの憲法改正にみる多数派支配の恐ろしさ 権力の濫用を押さえるどころか権力を拡大させた 憲法「改正」に見る反面教師」

 その結果、トルコで起きている事態は、言論弾圧です。
「トルコ、ウィキペディアとデート番組を禁止 公務員も大量解雇」(AFP2017年4月30日)
「ルコ政府は29日、オンライン百科事典「ウィキペディアWikipedia)」へのアクセスを完全に遮断し、テレビのデート番組を禁止した。大統領権限を強化する憲法改正国民投票で勝利したレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領による弾圧への懸念がさらに高まった。
 政府はまた、4000人近い公務員を解雇した。昨年7月のクーデター未遂後、9か月以上にわたって非常事態宣言が敷かれ、粛清が続いている。」
 日本の場合も例外ではありません。安倍氏がまず狙っているのが緊急事態条項です。
 緊急事態には国民の権利や自由を制限できるという条項です。まさに憲法の目的である権力制限とは逆行する条項です。
 共謀罪の成立を狙っているのも目的は同じです。国民監視であって、決してテロ対策ではありません。
 「テロ等準備罪」と言いながら、政府は、テロを防止するためにこの法律が必要ということを具体的な説明は一切、できていません。山菜採りがどうこうという珍解説しかできないのが現状であり、それは当然なのです、テロ防止が目的ではなく国民監視が目的なのですから。

 もう1つ権力を集中させ、国民の権利、自由を制限しようという政治状況が安倍政権によって作り出されようとしています。
 北朝鮮問題です。
 この問題は北朝鮮の核開発を封じ込めるために、トランプ米国大統領が先制攻撃をするぞと恫喝したことに端を発し、それを安倍氏が煽っているというものです。
 危機になればなるほど、都合がいいというのが安倍政権側です。
「「北朝鮮動向に不安」90%、JNN世論調査」(TBS 2017年5月1日)
北朝鮮弾道ミサイルの発射など、挑発的な行動を繰り返していますが、最近の北朝鮮の動向をどう感じているか聞いたところ、「非常に不安を感じる」が54%で、「多少は感じる」の36%とあわせると90%に達しました。「あまり不安を感じない」「全く不安を感じない」は合わせて9%でした。」
 安倍政権が北朝鮮を挑発し、しかし、マスコミ報道がそういった事実経過を報じることなく、北朝鮮が報復行動を示唆することばかりを報じ、国民の不安を煽ってきました。
 その世論誘導によって北朝鮮に不安が90%などというとんでもない数字が出てきたのです。
 そして、その結果、「安倍内閣の支持率は、前回の調査より6.3ポイント上がって63.3%。不支持率は、5.8ポイント下がって34.8%でした。」ということに行き着きます。

 戦争を政権維持のために用いられるというのはどの時代でもどの国でも常套手段でしたが、現代の日本でも同様の状況が出ているということは、非常に危ない時代を迎えたということでもあります。
 日本の自衛隊が、米国空母カール・ビンソンとの共同演習が実施されていますが、これに対しても「北朝鮮への対応を巡り、アメリカ軍が空母「カール・ビンソン」を朝鮮半島近海に向かわせ、途中、自衛隊と共同訓練を行いましたが、こうした日米の対応について支持するか聞いたところ、「支持する」と答えた人は64%でした。」という結果です。

 この演習は、北朝鮮を武力で威嚇するためのものというだけでなく、未だ日本が武力行使も受けていないにもかかわらず、米国の行う戦闘行為に無批判に従うという集団的自衛権行使の一場面です。集団的自衛権の行使が自国に危険を招く典型例なのですが、そうした現状よりも北朝鮮が脅威という扇動によって誘導されていることが如実に表れています。

 こういった状況を作り出すことは権力を拡大していくための下地でもあり、憲法を改悪するために不可欠となりますが、このような状況下で憲法が「改正」されてしまってら、それこそ権力の肥大化しかありません。

 今ほど日本国憲法を守らなければならない時代はないということです。

 私たちが誇る日本国憲法を守るため、声を上げましょう。

「これまでも これからも 私たちは戦わない 北海道大集会&パレード(札幌弁護士会)」